先日、「がんケアとアロマセラピー」に関する
国際オンラインセミナーに参加。
講師はイギリス
ガイズ&セントトーマスNHS財団
ディンブルビーがんケアセンターのセラピストで
がん、緩和ケア、終末期ケアを専門としている
クリニカルアロマセラピストのエマ先生。
セミナーではおもに化学療法室で訴えの多い
・不安感
・化学療法性末梢神経障害(CIPN)
・吐き気
について、アロマをはじめとする
様々なツールを用いた具体的なケアの方法について
シェアいただきました。
印象的だったのが
セラピストとして患者さんをケアすることに
とどまらず
アロマはもちろん、ツボ押しや呼吸法
時には鍼灸など別のアプローチへつなぐことなど
患者自身が自分で辛い症状に対する
対処法を習得できるよう
積極的にサポートすることを
大切にしている部分。
辛い症状に対処するツールを
患者自身が手にすることは
不安感を軽減する大きな要因となり得ます。
私にもまだまだできることがあるなあと
感じることができました。
さらに素晴らしいと感じたのが
現場のセラピーが
厳格なプロトコル(規定や手順)に従って
行われている、というところ。
精油の種類・使用する濃度・禁忌などの情報が
しっかりと管理され、共有されているのです。
一日化学療法で来院する患者が
100名を超えるというエマ先生の病院。
その患者に対して、10名以上のセラピストが
標準的で統一されたケアを提供するためには
プロトコルを遵守することが
とても重要になってきます。
このディンブルビーがんケアセンターで
使われているアロマセラピーのプロトコルは
近隣の病院と協力して作成されたものなのだそう。
イギリスでもアロマセラピストは
日本と同じく民間資格
このようなプロトコルに基づくケアは
医療の現場で医療従事者の信頼を得ていくためにも
とても大切だと感じました。
また病院では現在
現場で長年経験を積んだセラピストに学びながら
まずはボランティアとしてスタートしている
セラピスト
今後は病院独自の認定資格としての
クリニカルアロマセラピストも
養成していきたいとも言っていました。
*
臨床の現場でアロマセラピストが
きちんと報酬を得ながら永続的に
チーム医療に関わっていける環境
それが私が思い描く理想の形
なぜならそれが
患者が望むときにいつでも
アロマケアを受けることができる
というところに繋がっていくからです。
そのためにできることはなにか?
を考えながら私自身、日々活動しています。
エマ先生の働く病院はNHSという
国民保健サービスの病院
税金から成り立ち、無料で受診できます。
一方日本では法律による混合診療の禁止が
アロマセラピーを医療の現場で提供することの
大きな壁の一つになっています。
私は現在独立型のホスピスで終末期の患者さんに
アロマケアをさせていただいていますが
ホスピスに来て初めてアロマセラピーを
受けた、という方がほとんど。
「緩和ケアはがんと診断されたときから始まる」
と言いながら
実際にはまだまだ現場では
その選択肢の提示が少ないように感じます。
エマ先生は化学療法中
リクライニングソファに横たわる患者の傍らで
様々なケアを提供されています。
自分の体内にゆっくりゆっくり
抗がん剤が入っていくのを見つめる時間
治療によっては4時間もかかることも。
そんな時間にアロマセラピーを受けられたり
自分の思いに傾聴してもらえたり
ただ手を握っていてもらえること
そんなことが、患者さんの心の支えになり
治療の効果に大きく貢献し
患者自身のQOLの向上にもつながっていく。
いきなり大きく変化させることは
難しくても
理想を見失うことなく
自分にできることを一つ一つ
積み重ねていきたいです。