ホスピスでのアロマの日。
今日お会いした患者さん。
前回は入院された当日に
お会いしていたのですが
その時はかなりお辛そうな様子でした。
そして今日、10日ぶりに
再びお会いすることができて
見違えるように顔色も良く
とてもお元気になられていました。
「シトラス系の香りが好きなのよね。
みんなが好きなあの香り、なんだっけ?
そうそう、ラベンダー。
あれは苦手なのよねえ」
と香り選びも、とても楽しそう。
「女はやっぱりローズよね。
あの香りは好き。
ここぞ、というときの香りよね」
と笑顔を見せながら
いろいろお話ができました。
両下肢はむくみがかなり強く
とても冷えていたので
手のひらであたためながら
やさしくマッサージを。
「人肌って、いいわね」
と、とても穏やかな顔をされていました。
アロマセラピーは
・代替療法(医療に代わるもの)
・補完療法(医療を補うもの)
・補完代替療法(医療に代わったり、それを補うもの)
いろいろな解釈のしかたがあります。
その中で
わたしがいつも臨床の現場で
アロマセラピーをしていて思うのは
触れることで訪れる
穏やかな時間も
香りを選ぶ楽しさ
好きな香りに
包まれる心地よさがあるのも
医療的なケアがしっかりとあり
その上に成り立つものだ、ということ。
医療がある、その中で
アロマセラピーだからこそ
できることを
いつもそんなことを考えながら
患者さんとの時間を
過ごさせていただいています。
アロマを構成する成分には
薬理作用があり
心と体にさまざまな変化を
もたらしてくれます。
でもその薬理作用だけしか見えていない
症状に対して
作用をあてがうだけの
アロマの選択は
セラピーというものの本質と
その真ん中にあるべき患者さんが
置き去りになってしまうことも
あるのではないか、と思っています。
これは臨床にかぎった話ではなく
サロンでのアロマトリートメントでも
同じこと。
アロマが大好きな患者さん。
いつも楽しみにしてくださっているのですが
今日はいつも施術させていただく
腕や脚の乾燥を気にされていて
アロマができるか
とても気にされていました。
「ラベンダーは傷の治りを助けたり
肌の乾燥にもいいですよ。」と伝えると
「そうなんですね、よかった。
じゃあ今日はラベンダーにします」
といつもの笑顔を見せてくださいました。
アロマセラピーの真ん中にあるべきは
アロマではなく
患者さんであり、お客さま。
人、そしてその人の体と心を
いつも真ん中に。
忘れないでいたいです。